いわゆるコウノ談話。

仕事のこと、世間のこと、わたくしごと。そのあいだのこと。

いわゆる「コウノ談話」

プレミアムな談話。

放送作家の河野虎太郎です。

 

radiko.jpプレミアム」が始まります。

これをお読みのあなたは、パソコンで、或いはスマートフォンradikoを利用されたことがあるでしょうか?

 

 

radikoは、インターネットを通じてラジオが聴けるサービスです。

 

ネットの台頭・高速化が進むにつれ「ネットでもラジオを!」という声が高まり、本格的にスタートしたのが2010年のことです。些か、遅きに失した感もあるかと思った当時でしたが、それでも待ち望んでいたものでもあり、その証拠に、関東1都3県でサービスが始まった当初、アクセスが集中したことも、報じられました。

 

無料で聴けるradiko。これは今後も変わりません。

ただし、地元以外の放送局を聴きたい時に、お金を払ってね、というのがradiko.jpプレミアム」有料になることで、地方の放送局の番組がお聴きいただけるようになります

ですので「俺ぁ、自分とこの放送局だけでいい!」という方は、引き続き無料で聴ける、というわけです。(←ここ大事っす)

 

ラジオ局にはそれぞれ「サービスエリア」があります。現在99の民間放送ラジオ局がありますが、1局を除いて、その放送エリアは、都道府県ないしは都市圏単位でのものです。これに準じてradikoはスタートしたため「IP判定」で、その地元の局のみの聴取となりました。

 

しかし、このIP判定が曲者で、時折、バグなのか、要は「自分が住んでいるところじゃないところの判定をされてしまう」という事態が、起きているようです。僕もありました。約1週間、僕の地元は長崎であり、北海道でした。

 

今回始まるradiko.jpプレミアム」は、エリア判定は引き続き残るものの、料金を支払うことで、radikoに参加する他の地方の放送を聴けるというものです。ただし、権利上の処理等の関係もあって、全ての電波と同じ放送が聴けるかどうかはわかりません。

 

具体的な部分はまだ、プレスリリースに記されていませんが、特定の芸能人が出演する番組、また放送権利料を支払う番組等が、対象になるかと思われます。

 

最初の1ヶ月間は無料。サービスの開始は4月1日。ここから周知徹底が行われないと、せっかくお金払ったのに、聴きたい番組聴けないじゃん!という方も出てくる可能性があるわけです。月額350円(税別)。高い安いは人それぞれですが、お金を払って聴いていただくものです。無駄な負担になってはいけないと考えます。

 

その、周知ですが、サービス開始1週間前のこのタイミングの発表ということに、疑問を投げかける方がいらっしゃいました。そして、無料版には参加しているのに、プレミアム(有料)には参加しない局があることに疑問を持たれている方もいらっしゃいます。

 

まず、発表についてですが、サイトないしはアプリから流れるのは、放送局の番組ですが、いわゆる放送局の開局とはまた別物なので、また最初の1ヶ月は無料ということもあるので、その間の周知ということなのでしょう。

 

そして、参加しない局。これは僕にはわかりません。

配信する端末の設定を何か変えれば、すぐ出来るんでしょうけど、そこには放送局の経営事情が関わってくるのかと思います。ネットで流すのは簡単です。

 

しかし、それに向けての、権利処理等は、今後も続く作業であり、そこには人的費用もかかることです。ただ、簡単なことではありませんが、それに見合う、もしかしたら見合わなくてもやってみたほうが、先々のプラスになると考える局があれば、今後増える可能性もあるかもしれません。ただ、これは今後、続けていかないとわかりません。

 

ただ、お金をいただきながら「カネかかるから、ウチ(の局)は止めます!」とは、なかなか言い難いと思います。

 

全国的に名の知れたタレントさんが出演する番組をもつ放送局が、今回「プレミアム」に参加しません。出来ることなら僕も聴きたいと思うのですが、これには「座して待とう」という以外にはありません。

 

そして、今回の周知について、もうひとつ。

 

日頃からよくラジオを聴いている方々の中には、4年前のradiko(関東1都3県)でのスタートの時とは違うじゃないという気持ちになった方もいらっしゃることでしょう。しかし、それは無理からぬこと。無料ですよ、と発表するのと、有料ですよ、と言うのでは、その方法からして違うものではないでしょうか。また「ラジオファンしか、SNS等で書いていない」そして「ラジオファンしか喜ばない、今回のプレミアム化」という声がありました。

 

今回の情報が発表されたのは、3月25日の午後3時頃Twitterを見る限りでは、radikoの公式アカウントより先に、関東地方のradiko参加局のひとつが「プレミアムが始まります」と告知したようです。また、地方のAM局もその時間の生放送で告知を開始したようです。

 

そして、僕はTwitcast(音声ライブ配信)を通じて、今回の件について話をして、聴いている方々の意見を紹介しました。まだ告知から8時間前後です。何より、実際にradikoプレミアムによる、放送の配信は始まっていませんまだ聴けないんです

 

インターネット上のサービスの、開始の瞬間、アプリの配信開始にアクセスが集中することはあっても、その瞬間の一体感、盛り上がりというものはまた別のものかと思います。キャリア、端末等によって順次始まるものです。また、放送局の開局に当てはめたとしても、電波が出るまでは、あの地デジ切り替えの時を思い出してみてください。「チャンネルの設定」や「もし映らない場合は」といった、極めて地味な告知が中心です。

 

もちろん、放送作家として「ああやったら、告知で盛り上げられたのになぁ」と思うことはあります。しかし限られた予算と時間の中では、それとて、いやそれこそが「ファンしか知らない」ものになってしまう危惧はあると考えます。

 

だからこそ、ここから、もっとやれる、やらなきゃいけない、やりたくないけど踏ん張ってやる、そういうことがあると思います。また、新たな方向に目を向けることで、日頃からラジオを聴いている方が、疎外感を覚えるようなことがあるかもしれません。ここ数年、SNSを通じて、僕が思っていることです。

 

そして、今回、radikoプレミアムを使ってみようと思っている方。

 

とくに、今まで聴けなかった地域・局の番組を聴こうと目的をもっている方。もしよかったら、あなたが今まで、足を踏み入れたことのない、そして聴いたことのない土地のラジオ局を聴いてみてください。そこであなたは「初めてのお客さん」になれると思います。せっかくの機会ですから。はじめてのものに触れるタイミング、もしかしたら訪れるかもしれません。あなたが思っている以上に、ラジオ局って結構いろんなことやってるんです。

そして、これをお読みで、普段そんなラジオ聴いてないけど、という方。最初は無料です。1ヶ月。とりあえず試してみてください。熊本の焼酎好きだから熊本のラジオ局聴いてみるか、とか、昔彼女と旅行してドライブした北海道で聴いた地元のラジオ局聴くか、とかね。気軽に、遊んでみてください。で、よかったら、ラジオにちょっと時間を分けてください。

まぁ、かく言う私ですが、radikoプレミアム発表の前日に、出演していた和歌山のローカル番組が終わってしまったわけですけど、ええ(苦笑)。