いわゆるコウノ談話。

仕事のこと、世間のこと、わたくしごと。そのあいだのこと。

いわゆる「コウノ談話」

和歌山とラジオに関する談話。Part2

放送作家の河野虎太郎です。

 

「和歌山とラジオに関する談話。」の続きです。

 

2年前の4月2日、wbs和歌山放送ラジオ「和歌山LIVE 夕方わくわく」がスタートしました。放送初日から、電話コメンテーターとして、東京から出演することになりました。

 

打ち合わせで、寺門秀介アナウンサーには伝えました。

 

「必ず『コタローさん、今どこにいます?』から、始めましょう」と。

 

東京のどっかで、コウノが喋る。人的な魅力は皆無だし、持ちうる情報も何か特筆すべきものもなく。そんな人間が、ラジオで喋るんです。で、あれば、いま居る場所の話に重きを置いて、そこから話をしようということになりました。

 

 

 

そして、最初に選んだ場所は有楽町の駅前。マルイの前です。

 

これには理由があります。

 

遡ること2ヶ月前、東京で寺門アナウンサーと話をしたとき、かつてのニッポン放送のラジオ番組「上柳昌彦の花の係長 ヨッ!お疲れさん」(1994-1995)の話になりました。この番組のエンディングは、必ず局から程近い、有楽町の駅前からの中継で終わっていたのです。その時間、有楽町を通過する、新幹線の音をバックに、一日の放送を終わらせます。

 

だったら、初日はこうしよう。

そして、春を迎えた銀座の街を歩いて、どんなことやりましょうか、といった話をしたと記憶しています。

 

こうして、随分とゆるい話で、初回を終えました。

 

手探り状態で、いろんな事をしました。和歌山出身の知己からは「お前、俺の故郷で何やってんだ!」と苦笑されました。スケジュールの関係上、出演がテレビ局の前や、収録スタジオのロビーだったり、他局の仕事で出向いた千葉のホテルだったり、場所を選ばずの回もありましたが、東京が40度近い気温に達した日は、気象計のある、練馬の某私立高校の正門前で、警備員に睨まれながら中継をやったりと、そりゃもうデタラメなこともやりました。

 

そういえば、結婚祝に僕が「作務衣」をいただいた時は「作務衣ってものは、どこまで着て出かけていいものなのか」という、公共の電波で話すことかソレと言われそうなことも話しました。しかしながら名刹の多い和歌山。その日のニュースで、あるお寺の山門の前にある駅で、駅員さんが作務衣を着用するようになったという話題も報じたものです。

 

でも、寺門アナには言いました「番組単位で東京支局を持ったつもりで、僕に連絡をとってくれ」と。

 

だから、石原慎太郎東京都知事が辞任した時も、号外が配られる時間がちょうど放送時間直前だったので、その様子を送ったり、台風が和歌山に大きな爪痕を残した翌日、勢力を増しながら関東にも接近したということで、台風の進路を、番組に出演する気象予報士の方の解説を交えて伝えました。

 

昨年末は新語・流行語大賞の会場からの電話レポート。僕が待機した場所の横には、「夕方わくわく」の中でも流れる、東京発全国ニュースのスタッフが、中継機材をひと揃えさせてスタンバイ。こっちは携帯電話ひとつ。向こうは記者レポート的なものなので、こちらは実況的に会場内を歩き回ってのレポート。ひとつひとつがゲリラ戦でした。

 

もちろん、その間、和歌山にも行きました。行く度に、和歌山放送の皆さんは暖かく迎えて下さったとともに、美味しい店も案内してくれました。大抵は和歌山泊。翌朝、ホテルの朝食には、和歌山の名物「茶粥」。これが一番美味かった。どこのホテルに泊まっても茶粥。もはや、次に行くときは「茶粥ありますか?」と問い合わせた上での宿泊予約になるんじゃないかと思います。

 

この2月の大雪。首都圏だけでなく、和歌山にも降りました。そして僕は放送の日、新宿のバスターミナルに行きました。関西・中四国方面に向かう高速バスは、東名でなく、中央道を通る便も多いのです。しかし大雪で中央道が閉鎖。そうなると東名便にも影響が出る、それはバスだけでなく、物流にも影響が及ぶ……。関係のないようで、関係のある、そして伝えるニュースは多々あるのです。

 

なんて言いながらも、東京出身の寺門さんが帰京した際に、30分だけ時間がとれるっていうんで、代々木公園のベンチに座って録音したり、大阪で仕事のあった際に、梅田地下街の喫茶店で、テーブルのペットシュガーを立てる筒に、ICレコーダーを立てて録音したりと、とにかくゲリラなことを、ニュース番組なのに、やっておりました。

 

ここ数年「通い続ける地方」が出てきました。東京生まれ・東京育ちの人間にとって、30も後半になって、ちょっと意外な感覚でした。そして、番組の出演が終わっても、僕は和歌山という文字を見る度に、感傷的にはならないけど「おっ!」という興味をもつことになるとは思います。

 

僕も大概いい加減な生き方をしていたが、そんな男を2年間、夕方の、仕事帰りのドライバーや、家事をする主婦が聞くような時間帯に出演させて下さった、和歌山放送の皆様、本当にありがとうございました。そして「コタローさん、出てくれません?」と、あまりにも無茶なブッキングをしてきた、寺門秀介アナウンサー。彼は、引き続き、夕方の新番組にも出演するとのこと。今度は、もう少し理知的なコメンテーターの起用が求められます。

 

つまりそれは、「コウノ以外なら誰でもいい」ということです。

 

何より、番組を聴いて下さった皆様、ありがとうございました。

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初めてwbsのスタジオに行った時の写真。番組冒頭から出させてもらいました。